アレック・スー&プーバージャ インタビュー

『2010東京・中国映画週間』のオープニングセレモニー終了後に控え室を訪ねたところ、アレック・スーとプーバージャがインタビューに応じてくれました。


最初はアレック・スー。10月16日に発表された中国のアカデミー賞とも言われる【第19回金鶏百花電影節/第30回百花奨】で助演男優賞を受賞した直後とあって、取材陣が殺到していましたが、丁寧に質問に答えてくれました。
IMG_0162_030s.jpg
Q.今回は映画祭での来日ですね。
俳優として一番大切なのは作品の中で様々な役柄を演じること。そうしてできた作品がこうして海外でも紹介されるのは嬉しいことです。
IMG_0204_030s.jpg
Q.作品選びのポイントは?
僕は作品を選ぶタイプで、1年に何本もの作品に出演して、ひたすら撮りまくる、なんてことは経験がありません。作品選びのポイントは、興味を惹かれる作品で、しかも、以前にやったことがない個性定な役柄であることです。ロマンティックなラブストーリーは6~7年前にやりましたので、今は興味を惹かれません。これからチャレンジしたいのは、完璧で理想的な人物ではなく、現実的で人間的な役。平凡でない人物がいいですね。自分の年齢(アレックは1973年生まれ)にふさわしい役を演じていきたいです。俳優として、いろんな役に挑戦できるチャンスが来るよう願っています。
IMG_8002_030s.jpg
Q.「チベット恋物語」では、出演者がそれぞれの役柄の方言を話していましたね。
そうですね。僕も撮影現場では、ジュ・ウェンペイ(居文沛)さんに四川方言を習って話していました(笑)。この映画は民族色がはっきりしており、僕は漢民族の役だったため、正しい標準的な中国語(北京語)を話さなくてはと思ったのですが、漢民族といっても南方の江蘇省蘇州の出身という設定でしたので、監督から僕は台湾の人たちが話す南方方言のままでいいとの指示があり、特に苦労はありませんでした。

Q.「チベット恋物語」の役作りで苦労した点は?
大学を出てすぐ解放軍に参加しているという役だったので、人物像としては捉えやすく、監督から特に指導されるということはなかったですね。ただ感情表現の面は、中国の輝く将来を信じて故郷を遠く離れ、強い信念と理想を抱いていた当時の若者の心情を表現する必要がありました。若い時にこういう人物だったからこそ、60年もの間、変わらぬ愛を持ち続けていたのだと観客に納得してもらえる、説得力のある演技をしなくてはならないと思いました。

Q.芸能界で長く活躍されていますが、歌と演技、どちらをメインに置いていますか? アイドル時代と今を比べてどうですか?
今は歌より演技です。はっきりしています。僕はデビューした時、フレッシュなアイドルとして人気をいただきましたが、こうして長く仕事をしていると、皆さんの期待を裏切らず注目され続けるには、自分が努力し、プロらしい仕事をしていくことが大切だと考えるようになりました。アイドルも成長しなくては退化していると思われてしまう。あとは、仕事に集中することも大事。チャン・ハンユー(張涵予)さんなど、影帝(最高の映画スター)と呼ばれる人は集中力が素晴らしいですね。いい仕事をするために役者が払う犠牲は、想像以上に大きいものです。


Q.第19回金鶏百花電影節と第30回百花奨で助演男優賞を受賞した感想は?
もちろん感動もし、嬉しいですが、翌日になってインタビューを受けて、思ったんです。受賞は過ぎ去ったこと。大切なのはこれからだと。自分の演技にはまだまだ努力の余地がありますから。最高の瞬間は一瞬で、そこに留まって生き続けることはできません。これまで何度も最高の瞬間がありましたが、それでは足りないのです。これからもっといい役をやろうと前に向かって努力していきたいと思っています。

 
IMG_8000_030s.jpg

 

続いて、プーバージャのインタビューをどうぞ。

Q.日本の映画ファンに自己紹介していただけますか。
僕はチベット族出身のプー・バージャです。地元チベットでは歌や踊りで舞台に立っていました。2006年「加油好男儿」というオーディション番組で優勝したのをきっかけに芸能界入りし、胡雪桦監督が2007年にシェイクスピアの『ハムレット』をチベットを舞台にリメークした映画「喜瑪拉雅王子(ヒマラヤ王子)」でデビューしました。この映画ではチベット語を同時録音したので、チベット族の俳優が必要だったのです。また、2006年に上海戲劇学院の聴講生になり、2007年に正式入学、現在四年生です。
IMG_7991_030s.jpg
Q.何度目の来日ですか?
2回目の来日です。「喜瑪拉雅王子」のプロモーションで初めて海外に出たのですが、それが日本でした。来てみて、日本がとても好きになりました。あれから4年後、今回こうして同じチベットをテーマにした映画「チベット恋物語」で再び日本に来ることができ、とても嬉しく思っています。このような映画祭を通して、これからも多くの皆さんに中国映画を観てもらい、チベット族についても理解していただけたら嬉しいです。実は、前回の来日時には、オーディション番組を通してファンになってくれた日本に住む中国人のみなさんが空港で出迎えてくれたのですが、きのうは十数人の日本人のファンが迎えてくださったんです。とても感動しました。「昨年のコンサートに行きましたよ」とコンサートで撮影した写真もいただきました。僕のために中国語を勉強して、僕のブログにメッセージをくださったりもします。映画の力って大きいですよね。この映画週間を通して、また僕たちを知ってもらって、十数人のファンが3年後にはもっと増えているといいなぁと思います。
IMG_0035_030s.jpg
Q.歌手活動もしていますね?
チベットには有名な歌手が多く、歌を通して中国にチベットという地方があるのだと知ってもらう機会が多いですが、実はチベット族が演技も得意だということはあまり知られていません。多くの人に映画を通じてチベット族の生活を理解してもらいたいと思い、演技の勉強を始めました。大学で専門的に演技を勉強している傍ら、現代音楽にチベット民謡の要素を取り入れた音楽活動も続けていきたいと思っています。きのうファンからいただいた手紙に、僕の歌が好きだと書いてあったのが嬉しかったです。 余談ですが、僕はチベット族で、故郷ではチベット語を話しており、四川省に出て初めて北京語に触れたので、ずっと四川訛りの北京語を話していました。上海に行ってから標準的な北京語を勉強し始めましたが、訛りを矯正するのが難しく、まだ完璧な標準語ではありません。本当に中国語が下手なんですよ(笑)
IMG_0113_030s.jpg

Q.「チベット恋物語」では俳優以外の仕事もされたとか?
チベットは僕のふるさとです。演技だけでなく、民族的な習慣や服装、礼儀などについても間違いがないか、僕がチェックしました。たとえば乗馬については、他の地域では左から降りますが、チベット族は必ず右側から降ります。衣装の着方もチベット族らしい着方があります。初めての上映は地元の康定で行われ、観てくださったみなさんもとても感動して下さり、僕も責任が果たせてほっとしました。そのままのチベットを感じて頂ける作品です。 それからもう1つ、挿入歌も僕が歌っています。最後の部分ですよ。
IMG_0139_030s.jpg
Q.チベットのオススメは?
たくさんあります。まず風景がとても美しい。Roserootという美しい高山植物が咲き、ヨーグルトもとても美味しいです。郷に入れば郷に従えで、チベット族が食べるはだか麦の粉でつくる食べ物やバター茶もぜひ試して下さい。高原には野菜がありませんが、これらが野菜の代わりです。はだか麦は体にとてもよい食べ物で、子供たちにはオススメですよ。 チベットは高地なので、過度な運動はせず、風呂にも入らない方がいいですが、高山病を怖がり過ぎないで、絶対いらして下さい! 心が洗われる場所です。
IMG_0149_030s.jpg
Q.来日後、仕事以外で出かけましたか?
今朝、起きて身支度を整えて1時間ほど街に出かけました。靴やめがねを買って、そうそう、今しているこのシッポを買いました。いいでしょ(笑) 僕は、靴やめがねを集めるのが好きなんです。日本のモノはいいですね。アジア人の体型には欧米の製品よりも似合います。
IMG_0134_030s.jpg
Q.日本のファンのみなさんへ一言。
日本のファンのみなさん、こんにちは! 僕はプーバージャです。日本に来るのは2度目で、とても嬉しく思っています。そして日本のファンにも会えて、本当に嬉しかったです。多くの方に中国の映画を見てもらい、チベットの人々の生活や音楽を知ってもらいたいと思っています。ありがとうございました! 
IMG_0146_030s.jpg
関連記事:『2010東京・中国映画週間』オープニングセレモニー&レセプションパーティー
                 東京・中国映画週間「チベット恋物語」舞台挨拶

 


 

 

1  2  3  4  5  6  7
[Copy selction] [Translate With Google]