映画『レッド・ファミリー』イ・ジュヒョン監督インタビュー

韓国の鬼才キム・ギドク監督が製作と脚本、編集を担当し、キム・ギドク監督が認めたイ・ジュヒョン監督が手掛けた映画『レッド・ファミリー』が大反響で日本公開中!公開に先駆けて、イ・ジュヒョン監督が来日しましたので、インタビューをお届けします。 

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~この作品2013年東京国際映画祭で上映され、そして今度日本で上映されることになった感想をお願いします
 
2013年の東京国際映画祭きっかけとなったことで韓国では予定より早く上映することになり、劇場をおさえるのが大変でした。そのため韓国ではあまり多くの方にみていただけなったことが残念です。しかし、今回日本での上映が決定し、とてもうれしく思っています。東京国際映画祭ではむしろ、韓国より日本での反応が良かったし、観客賞をもらえたことが光栄でした。この映画にとってワールドプレミアでしたのでいい経験ができました。
 
~北朝鮮工作員と近代的な韓国の家族を対照的に描くという、タブーに切り込んだテーマを扱っていますが、韓国で批判的な意見がありましたか?
 
韓国では “赤”という言葉に反応してしまう方が多いですね。韓国では“赤”を嫌う人が多いです。物理的な赤い色という事では無くて、“赤”の思想にです。この映画を観る前に“これは左派の映画だ”だからみたくないという偏見を持ってしまいます。でも映画を見終えるとちがうことに気づくんです。実は上映前にコメントテロがありまして、映画の口コミサイトに30人ぐらいで、0点をつけるんです。でも、上映がスタートして、実際に映画を観た方が「思想的な映画ではないんだよ」と、説得する様なコメントを書いてくれて嬉しかったです。映画の内容が伝わっている今では受け入れてもらえて良かったです。
 
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~この作品を作ろうとしたきっかけは何でしたか?
 
実は20代のころに映画に関心をもつようになりました。そのころキム・ギドク監督の『鰐~ワニ~』をみました。この作品みた人は驚いていました。韓国映画界に新しい波が来たと!今までこんな監督はいなかったと。私はそれからずっと監督の作品をみてきました。フランスに留学したころフランスから自分が撮影したDVDおくっていたんです。韓国に戻りキム・ギドク監督に会いフランスから送っていたDVDが届いていないことを知りました(笑)。そのごDVDをみてもらい、こういう考えをもっているなら、レッド・ファミリーをまかせたいと言われました。シナリオをみてこの題材ならできるかなあと思いましたが、不安でいっぱいでしたが、“君にならできる”という監督の言葉でこの作品を手掛けることになりました。
 
~本作はキム・ギドク監督が企画を務めてみますが、監督とキム・ギドク監督との出会いは
 
映画をたくさん見始める様になった20代の頃、キム・ギドク監督の『鰐』という作品を観ました。ですから、私の映画人生はキム・ギドク作品から始まったとも言えるかもしれませんね。『鰐』はたくさんの映画館で上映されていたわけでは無いのですが、観た人は皆「韓国映画界に新しい波が来た」と驚いていました。その後私はフランスに渡り映画の勉強をしていたのですが、韓国に戻ったらキム・ギドク監督にお会いしたいなとずっと思っていて。それが実現した際、自分の撮った作品を監督に渡したら「君は人間を見つめる視点を持っているから気に入った」と言ってくださって、この『レッド・ファミリー』の制作をまかされたのです。不安はもちろんありましたが、その度にキム・ギドク監督に「君なら出来る」と励ましてもらいました。
 
~キム・キドク監督とはどんな話をしましたか?
 
シナリオをもらったら翌日から映画作りがスタートするのがキム・ギドク監督のスタイルなのですが、私もシナリオをもらって、すぐに脚色をはじめて、それと同時にキャスティングも行っていました。最初のはメッセージ性が強く、少し重すぎる内容に感じたので、キム・ギドク監督とアイデアを交換しながら、笑いと悲しみが混在した今の物語になっていきました。そして、キム・ギドク監督が関わるのはそこまでで、後は全部私にまかせてくれたんですね。撮影に入ってからは全て私の責任であり、努力である、という環境を作ってくださいました。
 
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~撮影中に苦労したことは何ですか?
 
体力的にはとてもきつかったですね。撮影は2回に分けて12日間で撮影しました。島での撮影は台風の影響で1週間撮影が伸びましたが、かえって休めてよかったです。キャストやスタッフは体力的にきついはずなのに撮影が楽しいと言っていました。今回の役どころは本来の姿、偽装している姿などひとつの作品で違う姿をみせなければいけません。役者にとってはとても演じがいがあったようです。
 
~この映画で一番気に入ったシーンはどこでしたか?
 
最後の船上のシーンですね。今回の映画はシナリオの順番通りに撮影しました。ですから役者さんたちも感情をいれやすかったようです。最後の重要なシーンですが、テントを張ることも、肉をやくところもすべて自分達が用意して演じました。寒い日でしたが、みんな薄着のまま…。セリフも気合が入っていました。となりの家族を演じる様子も全身全霊で演じていました。あのシーンでの涙や嗚咽は本当に彼らの心から湧き出てものです。
 
 
~監督が一番伝えたかっったことは何ですか?
 
 “体制”の中で色々な事を隠して偽って生きてきた北朝鮮の疑似家族ですが、となりの家族に会うことにより、色々な出来事出会い本当の家族の様な絆を深めていくのです。それこそがこの映画で伝えたかったメッセージなのです。この映画は政治的な映画だと敬遠しないで、ぜひご覧になっていただきたいです。
 
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◆『レッド・ファミリー』
韓国の鬼才キム・ギドクが製作と脚本、編集を手がけた社会派ドラマ。理想的に見える家族が実は北朝鮮工作員による擬似家族と、その隣人であるケンカの絶えない韓国人家族。対照的な2つの家族の交流をコミカルかつスリリングに描くことで、現在の朝鮮半島における問題を浮き彫りにしていく。監督はこれが長編デビュー作となるイ・ジュヒョン。
出演は「ボイス」のキム・ユミ、「大韓民国1%」のソン・ビョンホ。2013年・第26回東京国際映画祭コンペティション部門で上映され、観客賞を受賞した。
 
スタッフ
監督イ・ジュヒョン 製作キム・ドンフ製作総指揮キム・ギドク原案キム・ギドク撮影イ・チョニ
 
キャスト
キム・ユミ
ソン・ビョンホ
チョン・ウ
パク・ソヨン
 
原題 Red Family
製作年 2013年
製作国 韓国
配給 ギャガ
 
10 月 4日(土)より新宿武蔵野館 他全国公開中!

 

 

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