キム・ボムレ 韓国ミュージカル俳優コンサート&トーク  囲み取材  

韓国ミュージカル『Jack the Ripper』『三銃士』の来日公演で、その渋い歌声と迫力ある演技に魅了されるファンが続出。個性的なキャラクターを演じてきた、実力派のミュージカル俳優キム・ボムレが、人生初というソロコンサートを日本で開催。その開演前に囲み取材が行われました。
今回のソロコンサートのチケットは即完売し、追加公演が行われるほどの人気ぶり。そんな人気あるミュージカル俳優、キム・ボムレが、ミュージカルでの役柄ではない、素顔のぞかせた囲み取材の様子をお伝えします。

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Q:人生初のコンサートを迎える感想をお願いします。

こんにちは!いい声でしょ!(笑) ソロコンサートをするなんて、自分でもとても驚いています。今日になっても、今も信じられないくらいで、私が日本でコンサート出来るなんて!という気持ちでいます。

Q:ミュージカルではいろいろな役を演じておられますが、今日は素のボムレさんにお会いできると思います。どのようなボムレさんにお会いできるのでしょうか?

ミュージカルでは個性の強いキャラクターをたくさんやりましたが、コンサートでは自分のいろいろな面をお見せできるように、ミュージカルナンバー以外にも韓国の歌謡曲なども選びました。太く低い声も、ソフトな声も持っていますので、そんな姿をご覧頂けるように様々なジャンルの曲を選びました。

Q:そんな曲の中でも「この曲は歌いたい」とまず決めたのはどの曲ですか?

最近、韓国ではセウォル号の水難事故があり、多くの高校生が事故の犠牲になりました。個人的なことですが、私も高校一年生17歳の息子がおります。コンサートのスケジュールは事故の前に決まっていましたが、同じ子を持つ親の心情として一曲歌わなければと考え、追悼の想いを込めて『手紙』という曲を決めました。
そして、これまでミュージカルをやって来て一番苦労した作品が『ノートルダム・ド・パリ』なのです。音域が高くて歌うのが難しかったのですが、全力を尽くして良い公演をお見せしたいと思い、この作品から2曲を準備しました。

Q:声楽家を目指したきっかけと、ミュージカルへ転身されたきっかけを教えて下さい。

そのきっかけは両方とも面白い話なんですよ。実は私は勉強ができなかったんです。(笑)そこで自分にできる可能性があるのはなんだろう?と考えたら、父がくれた声でした。実は姉も声楽科出身で、家族全員、声がいいんですよ。一番の強みを生かすのがいいでしょう?それで声楽科に進みました。
次にミュージカルに進んだきっかけですが、これも面白い話です。最初はアルバイトだったんですよ。勉強はできなかったのですが、大学に入ってからは優秀な学生でした。大学代表になりましたし、留学にも行かせようという話もあったほどでした。卒業後にアルバイトをしてお金をちょっと稼ごうと思ってミュージカル団体に所属してミュージカルを始め、もう19年も経ってしまいました。もちろん、今はアルバイト気分ではないですよ。オペラよりも少しアクティブで面白いミュージカルの魅力にはまってしまって、今までやってきました。

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Q:一番好きな作品は?

一番愛している作品は、作品性とかではなく、一番幸せにやった作品の『三銃士』です。その理由はやりながら本当に楽しかったからです。共演者たちと一緒に出る場面が多くて、「三銃士」「義理」と心楽しくもう5年もやっています。 共演のユ・ジュンサンさん、オム・ギジュンさん、シン・ソンウさん、ミン・ヨンギさんと一緒にいると楽屋から楽しいですし、終演までとても幸せな作品です。ご覧になった方はご存じでしょうけれど、愉快な作品ですから、演じていても楽しいですし、観客も楽しくご覧頂けるので、一番楽しいい作品です。

Q:韓国と日本での公演、違いはありますか?

日本で公演した2作品『Jack the Ripper』と『三銃士』は、私の人生を大きく変えた作品であると言っていいと思います。日本のみなさんに一番応援して頂いた作品だと思います。そのおかげで今日もコンサートまでできるのだと思います。
『Jack the Ripper』で初め私は、Jack役ではなく違う役(記者のモンロー役)でしたが、日本公演の直前の韓国公演からJackを演じることになったのです。しかし私がそれまでのイメージと違う恐ろしいJack、強いJackを演じたので、韓国での反応はよくなく、酷評されて私も傷付いたのです。そして東京で日本初の公演をしたのですが、日本では私に対してすごく大きな反応があって、私だけでなく他の共演者たちも「なぜ?」とすごく驚きました。韓国ではそんなこともなかったのにと。「なぜキム・ボムレさんが好きなのですか?」と日本の観客に尋ねると「声が素晴らしい」と答えたそうです。日本のファンが私の声を愛して下さって、そこに大きな違いを感じました。とても感謝しましたし、今日はコンサートまでできることになって…。なんと言っていいのか、驚きましたし、有難いです。

Q:日本の観客のリアクションや反応はいかがですか?

初の日本公演では、演じながら「失敗だ」と思いました。なぜならどのシーンの拍手も同じような感じのエネルギーを感じる拍手ではなくて、ただの拍手だけだったのです。それで失敗だったと思っていました。でも初公演が終わって、カーテンコールが済んだ後、20分も拍手が止まなかったのです。それで韓国と日本とは反応の表現が違うのだと分かりました。かえって日本の観客は公演を集中してご覧になるようで、日本の観客の方が熱い応援をして下さるような気もしています。
そしてTVでは韓流スターやK-POPアイドルがファンに囲まれる風景を見ますが、私にもそんなことがあって、驚きましたし、ありがたく思っています。

Q:若い韓流スターやアイドルとも共演されていますが、その感想を教えて下さい。

ミュージカル俳優の中で、アイドルと一番たくさん共演しているのが私ではないかと思います。アイドルたちが上手くできなければ、私も先輩たちも怒りますが、これまでに共演した方たちは、皆とても一生懸命で上手だったと思います。
ただひとつだけ胸が痛いのは、アイドル俳優が主役を演じてしまうので、ミュージカルからスタートした後輩たちにとっては、舞台へ上るチャンスが少なくなることです。けれども何ごとにも長所と短所があるもので、アイドルがミュージカルに出演することで観客が増えて、ミュージカルをアピールすることになるのは良い点だと思います。特に日本公演には大きな効果がありました。ただ作品を見るのではなく、アイドルの姿を見るだけであったり、他の観客に迷惑をかけるようなことがあると残念だと思います。

Q:教会というこの舞台は如何ですか?

私もクリスチャンです。最近は公演が多くて、教会に来る機会が少なくなりましたが。ここは良いですよね。あまりに厳粛な雰囲気ですとミュージカルをやるには似合わないかと心配でしたが、先ほどリハーサルをやりましたら、上手く集中できますし、音響も良くて満足しています。

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コンサートの前には、主催者より先日韓国で起こった海難事故へ哀悼の意を込め、木村智秋(元劇団四季)が、「アメイジング・グレイス」を贈りました。

コンサートでは、『Jack the Ripper』のJackのテーマにのって客席の間からクールに登場したキム・ボムレ。ミュージカル場面を彷彿をさせる演技を交えてのミュージカルナンバーから、切ない別れを歌った韓国歌謡曲や来生たかおのカバー曲まで、深く甘い声を存分に聞かせて満員の観客をメロメロにしていました。

ますます人気が出てきている韓国ミュージカル。その人気を支える俳優たち、ひとりひとりにスポットライトがあたり、日本でソロコンサート行われることはとても意味深いことですね。
もっともっと韓国ミュージカルを日本でも身近に感じ、気軽に楽しめるようにと願っています。

7月6日にはKAI&イム・へヨンの韓国ミュージカル俳優コンサート&トークへの出演が決定しています。
チケット情報など、詳細はアジアンハナでもお知らせしていきますので、ご期待下さい。

<セットリスト
魅惑的な誘惑『クレオパトラ』
手紙(キム・グァンジン)
10月のある素敵な日に(キム・ドンギュ)
鳥かごを開く(イム・ジェボム)
Stars ~星よ~『レ・ミゼラブル』
見果てぬ夢『ラ・マンチャの男』
時が来た『ジキル&ハイド』
サラン(イム・ジェボム)
All I Ask of You『オペラ座の怪人』
この世はなんて不公平『ノートルダム・ド・パリ』
踊って僕のエスメラルダ『ノートルダム・ド・パリ』

アンコール
Goodbye day(来生たかお)
別れの途中です(イ・ウンミ)
 

 

 

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