ピーター・チャン監督!金城武主演『捜査官X』を大いに語る@大阪アジア映画祭

 2012年3月18日(日)、第7回大阪アジアン映画祭のクロージング作品として『捜査官X』がABCホールにて初公開され、20年以上監督として作品作りをしてきたピーター・チャン監督のトークイベント、記者会見、上映前の舞台挨拶が行われました。

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まず、大阪芸術大学ほたるまちキャンパスライブラリ 堂島リバーフォーラム3Fで行われたトークイベントの模様から。この日は早くから会場に並ぶ人が多く、急遽整理券を出すほどの人気ぶり。大阪は映画『君さえいれば 金枝玉葉』で来日以来、2度目となる監督。拍手の中笑顔で登場し「『捜査官X』は熟年の世代に入り、意欲的に自分の変化を新しい取り組みで作った作品でより特別な映画です」と冒頭から熱く語ります。日本タイトルについては、「中国では原題の『武侠』で従来のカンフー映画をイメージする人、固定観念を持つ人々が多く、このタイトルは違うのでないかという意見も多かったのですが、日本の配給先が『捜査官X』という、まったく違ったイメージのタイトルをつけてくれたので、よかったと思う」と納得の表情。

 質疑応答では「今回の映画で時代設定より『武術の動き』が重要で、このことが1つの大きなテーマ。武術によって人の身体に与えられるものを生理学、科学的、医学的に説明するような側面を持たせたい」と説明。また、「雲南省で撮影された時代に取り残されたような辺鄙な村というロケーションも重要なポイントです」とのことでした。
 
金城武の起用については、まず「彼が大好きです」と笑顔の監督に会場から拍手と笑いが。「常に非常に貪欲に質問してくるので面倒で厄介な人ですが(笑)、そのことでキャラクターに深みが増し、映画自体が良くなるんですよね。それで無意識のうちに金城武をキャスティングしてしまうのかもしれません。また、私は彼のルックス以上に声が気に入っているので、初めからナレーションもお願いしようと決めていました。とても効果的で成功だったと思っています」と絶賛しました。
 
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さらには、「中国やハリウッドの映画業界との違いを挙げるとすれば、香港は市場そのものは小さいんですが、自由がある。資本が大きいのは魅力ですが、だからといって必ずしも成功するわけではない。どこでやるにしても常に映画を作り上げることは難しいものです」と厳しい表情で語り、代表作の『ラブソング』のようなラブストーリーは作らないのかという質問には、「最近は市場的に小さなラブストーリーを作りにくい環境になったというのもありますが、私自身も常に新しいものを作りたい、変化したいと思っているので、もうあのような作品を作るつもりはないです」ときっぱり。
 
あっという間にトークイベントの1時間は経ち、会場の参加者に見送られながら、すぐに別室で記者会見が始まりました。
 
 
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Q. 今回初めてタン・ウェイさんを起用した感想は?
タン・ウェイさんは中国によくいる美人女優とは違って、テンポがずれてどこか居心地の悪そうな奇妙な感じがする女優。背が高く手足も長くスタイルがよいのに肩幅がせまく、どこかアンバランス。悩んでいるときは自分の思うようにやってみるようにと言いました。そういった不安定さが役柄に合って不思議で神経質な感じが出て、良い演技だったと思います。
 
Q. 『捜査官X』は武侠映画へのオマージュなのですか?
以前の作品『ウォーロード』もそうですが、私が小さい頃から影響を受けてきた男性のヒーロー像に関わるものだという点で、これは武侠に対するオマージュであり、チャン・チェ監督(60年~80年代に大活躍した監督)に対するオマージュであると言えます。
 
Q. 13年ぶりに映画出演となったジミー・ウォンさんをキャスティングした理由は?
主演のドニー・イェンも私もジミー・ウォンの『片腕必殺剣』を観て育った世代で尊敬していたので、力強く存在感があって年齢的にも相応しいこの役は彼しかいないだろうとお願いしましたが、快諾してもらった時は本当に嬉しかったです。ドニー・イェンの役柄は『片腕必殺剣』のことを思い出し、遊び心を持ってできた部分もあり、すごく大変な映画でしたが、映画作りの楽しさも大いに満喫した作品になりました。
 
Q. 何度か起用している金城武さんは、阿吽の呼吸で監督の意図するものをすぐに察して演じてくれるのですか?それとも事前に入念にディスカッションを重ねるのですか?
タケシ(監督は親愛を込めて金城武さんのことをタケシTAKESHIと呼びます)はあまり自分をさらけ出すタイプではないですが、私は彼のことをよく知っている方ではないかと思います。彼とはたくさん作品を作っているので、お互いにわかり合ってる部分が多いのではないかと。タケシと仕事をする時は、いつもまずオファを受けてもらうため、何度も議論を繰り返し、どうしてこの映画を作りたいのか、どういう思いで取り組むのか、役柄についてどう考えているのかなど、彼からいくつも質問され、私がそれに答えるというプロセスを経ます。そうすることで、彼の演じる役柄が非常に充実した深みのあるものとなり、それが映画全体の深み、厚みを増す効果を持つので、タケシと仕事をするのは楽しみです。そして、作品が完成した時、いつも彼の演技にびっくりします。彼の演技はもっと高く評価されてもいい気がします」
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会見終了後の締めくくりは、クロージング作品上映前の舞台挨拶です。「いつも映画は楽しみながら作ることにしています。この映画はこれまで以上に充実し楽しんで作った作品です。私が楽しんだのと同じくらい、観ている人にも楽しんでほしいと思います。映画にすべてを込めていますので、とにかく映画を観て下さい。ありがとうございます」と挨拶。盛大な拍手の中、足早に舞台を去り、すぐに次の仕事に取り掛かる忙しさの監督でしたが、どの質問にも真摯に答える姿は本当に素敵でした。
 
『捜査官X』4月21日(土)全国ロードショー


 

 
 

 

 

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