ソ・ジソブ インタビュー

 aru-LOGO-1C-A.jpg日本公開が迫るソ・ジソブの映画最新作は、殺人請負会社で働くサラリーマンという奇想天外なキャラクターに挑んだ「ある会社員」。殺し屋と会社員。まったく異なる顔を持つヒョンドを確かな演技と鍛え抜かれたアクションで演じたソ・ジソブが、役作りから撮影の様子、作品が訴えるメッセージまでたっぷりと語ってくれました。都内のホテルで窓を背にして座ったジソブは後ろから柔かな陽光を浴び、まるで後光が差しているよう。静かな語り口の中にも、俳優としての自信がうかがえ、これぞスター!という眩いオーラを発散させていました。

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Q. 「ある会社員」に出演した一番の決め手は?
 
すごく暗いとか、クールでカッコ良いとか、そういう殺人者の話はありがちですが、この作品の主人公は普通の会社員と同じように、仕事だから殺人をしなくてはいけない。この独特の設定がとても気に入って、シナリオを読んで5時間ぐらいで出演を決めました。
 
Q. ヒョンドの仕事に対するスタンスは、ご自身と似ていると感じましたか?
 
仕事に対するアプローチの仕方が似ていますね。それに、家で料理を作って食べ、自分でワイシャツにアイロンをかけ、1人で寂しく暮らしているところも同じです(笑)。ただ、決定的に違うのは、僕は人を傷つけたりしません!
 
Q. 会社員のようでいて、実は暗殺者というヒョンドを演じる上で気を付けたことはありますか?
 
カッコ良く見せるのではなく、本当の会社員に見えるよう心がけました。ヒョンドは仕事に縛られる中、自分の仕事に対して「これでいいのかな?」と懐疑的になっています。ごく普通の人が会社に行きながら「ちょっと仕事を休みたいな」と感じているのと同じように、それを伝えようと思いました。
 
Q. 会社員に見えるために工夫されたことは?
 
同じスーツを着回すこと。会社員はスーツを着ますが、毎日スーツを変えるわけではないでしょう? ワイシャツもほとんど白を選びました。そして、会社員はちょっと休憩しようと思った時にネクタイを緩め、さあ仕事だ!という時にキュッとネクタイを締め直す。そこは意識的にやりましたね。
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Q. もし俳優でなくて会社員になっていたら、どんな仕事に就いていたでしょう?
 
11年間水泳をやっていたので、何らかの形で水泳に関連する仕事に就いていたんじゃないかな。かつて一緒にスポーツをやっていた友人も、体育の先生になっていたり、水泳の先生になってたりするので。
 
Q. ヒョンドは「普通」の生活を求めてあがいたわけですが、スターであるジソブさんにとってもある意味、「普通」であることは難しいのではないですか?
 
そうですね。俳優という仕事をしていると、自分自身を捨てなくてはならないことが多いですから。でも、今は演技をすること、俳優であることを好きでやっています。もちろん今の生活を、ごくごく普通の生活に変えることはできませんが、それは自分の中でちゃんと折り合いをつけて、こういうものだと割り切ってしまえばいい。考え方次第じゃないでしょうか。
 
Q. ヒョンドは次々と人を殺していき、後半は同僚との銃撃戦も繰り広げられます。演じていて精神的にきつくはなかったですか? 
 
あくまでも演技で、実際に自分が誰かを殺したわけではないので(笑)、精神的な負担はなかったです。(残酷なシーンを演じることは)俳優としてある程度もう鍛錬ができていますし。むしろ、人をたくさん殺すのがつらいというより、キャラクターに入り込みすぎて、そこから抜け出すのが精神的にちょっと大変だったかなあと。ただ、幸いこの映画を撮り終えた後、すぐに新しいドラマの撮影に入ったんです。次のキャラクターに気持ちを移すことができたのはラッキーでした。
 
 Q. 撮影中はどのように気分転換していましたか?
 
撮影中はあえて気分転換をせず、その時演じているキャラクターに入り込んでいる状態をキープするのが僕のスタイルです。ただ、自分の部下であった女性と闘うシーンでは、OKが出るまで彼女のことを何度も叩かねばならず、後で見たら体にあざができていて……。あの時だけはとてもつらくて、その場から逃げ出したくなりました。
 
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 (C)2012 SIMMIAN AND SHOWBOX/MEDIAPLEX ALL RIGHTS RESERVED.
 
Q. 共演者の印象を教えてください。
 
クァク・ドウォンさんは、この作品が初共演です。とても豪快な方で、ハッピー・ウイルスをお持ちなので、周りの人は常に笑っていますし、現場も自然と盛り上がり、楽しい雰囲気になりました。イ・ミヨンさんは、僕が若い頃からトップスターでいらっしゃるにもかかわらず、現場がうまく回るように気配りをしてくださるところが素晴らしいと思いました。そして、キム・ドンジュンさん。彼はアイドル歌手ですが、この作品では自分は俳優であろうという姿勢が見られました。その努力がとても健気でしたね。
 
Q. この作品でスクリーンデビューしたキム・ドンジュンさんに、昔のご自分を透過したりしましたか?
 
それはないですが、キム・ドンジュンくんは、演技していて疑問に思ったり、気になったところをどんどん質問してくるんですね。僕は彼をコーチするような立場ではないですが、それでも自分なりに少しずつヒントを投げ返していました。最初は知らなかったんですが、なんと彼はそれを全部メモしていたんですよ。そういう姿勢がとてもかわいらしいと思いました。
 
Q. ジソブさんはとても運動神経が良くて、ボクシングに挑戦されたこともありますが、今回は2ヵ月ぐらいアクションシーンのトレーニングを行ったとお聞きしました。
 
この作品では、ロシアの特殊部隊が採用しているシステマという技術を使ってアクションシーンを撮っています。動作は大きくないのですが、とても簡潔に攻撃し、相手に致命的なダメージを与える専門的な技術です。あまりにも動作が速くて、最初は自分にできるだろうかと心配になりました。2ヵ月ぐらい練習を積んでなんとかできるようになったのですが、今度は僕の動作が速すぎてカメラに収め切れず、わざと少しスピードを落として撮影しました。今はすっかり忘れてしまいましたけど(笑)。
 
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(C)2012 SIMMIAN AND SHOWBOX/MEDIAPLEX ALL RIGHTS RESERVED.
 
Q. ジソブさんが気に入っているシーンを教えてください。
 
ヒョンドがフンに、「好きな人に出会って幸せに。身を粉にして仕事ばかりするんじゃない」と語りかけるシーンです。実はあの言葉は、僕が観客のみなさんに訴えたくて、自分から提案したセリフなんです。みんな仕事をしていますが、しなくてはいけないからしている人のほうが多い。だから、みなさんに自分の仕事を一度振り返ってみて、はたして幸せに楽しみながらできているかと問いかけてみたかったんです。僕自身もできるだけ、好きなこと、したいことをやっていけるよう頑張っています。
 
Q. ジソブさんご自身は今、幸せですか?
 
幸せであるよう努力しています。うまくやることより、まず自分が楽しめることが大切。何をするにしても、できるだけ楽しみながら幸せを感じられるようにしようと思っています。
 
Q. この映画のテーマは人生を楽しむ、仕事を楽しむというところにあると思いますが、ジソブさんが仕事をしていて一番楽しいと思うのはどんな時ですか?
 
俳優として演技をしている時に、ソ・ジソブではなくて、その作品の中のキャラクターだからこそ、こういう行動に出る。それが自然にできた時はカタルシスを感じますね。楽しいなあ、幸せだなあと思います。
 
 
取材前にも作品を拝見したのですが、ジソブさんの話を聞くと、もう一度観たくなりました。何度観ても楽しめ、いろんなメッセージを感じられる作品です。ソ・ジソブ渾身の最新作「ある会社員」は6月1日(土)より新宿ピカデリーほかでロードショー。詳しいスケジュールは公式ホームページ(http://arukaishain.com/)をチェックしてください! 
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ソ・ジソブが挑む――
クールな殺人請負人の顔
平凡な幸せを求める優しい男の顔
 
商社を装った殺人請負会社で働くヒョンド(ソ・ジソブ)は、少年時代に憧れていた女性(イ・ミヨン)との出逢いにより、自身の人生を振り返り、これからの平凡な幸せを考え始める。しかし同僚(ヒットマン)たちは、そんな彼に容赦なく標的として襲いかかる…。
ヒョンドの心を動かす女性を、5年ぶりの映画出演となるイ・ミヨンが好演。ミヨンの息子役には、K- POPアイドルZE:Aの最年少メンバーであるキム・ドンジュンが映画デビュー作として体当たりで臨んでいる。
 
クァク・ドウォン、イ・ギョンヨンらベテラン俳優も脇を固めた。
 
英題『A Company Man』 2012年/韓国/カラー/96分/HDSR 5.1ch.
監督:イム・サンユン 
キャスト:ソ・ジソブ、イ・ミヨン、クァク・ドウォン、イ・ギョンヨン、キム・ドンジュン
製作:シミアン、ショウボックス/メディアプレックス/共同製作:51k
配給:ポニーキャニオン R-15
6月1日(土)新宿ピカデリーほかロードショー 
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