日韓交流おまつり2013 in Tokyo~綱の上を跳び、舞い、踊る韓国伝統芸能 チュルタギ줄타기(綱渡り)人間文化財キム・テギュン~

「共に笑い、ひとつになるお祭りを!」とK-POPコンサートや両国の伝統芸能パフォーマンス、韓国料理など日韓の文化交流の祭典が2013年9月21日(土)~22日(日)の2日間、青空の下日比谷公園にて開催。人間文化財(韓国の重要無形文化財第58号綱渡り芸能保有者)であるキム・デギュン氏による韓国の伝統芸能である綱渡りが2日間共に披露され、驚きの芸の連続に沢山の観客から大きな拍手と感嘆の声が上がった。

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 晴れた空の下、登場のキム・デギュン氏はまず無事に終えられるようにと綱の下で法事を行い、観客にも願いを込め、お酒(マッコリ)やりんごを振る舞います。
学士たちの演奏に合わせ、語りべの男性と共に観客の緊張をほぐすように面白おかしく話しをしながら、綱の上を渡り、時には綱の上でゆったりと、そうかと思えば驚きの速さで綱の上を走るように渡り、大きくジャンプもします。綱を渡りながら、観客の悪い運を持って海に流してくれると言う。
観客に話しかける優しい笑顔の中にも、いざ演技に入る前には鋭い目で前を見据える姿が垣間見え、この綱渡りという芸がいかに大変な危険と背中合わせの芸の世界なのかがわかる。素晴らしい演技の数々は弾力があり、美しく張られた綱と演者の小さな合図を見逃さず、綱の調整をする綱渡り保存会の仲間との長年の息の合った関係があってこそだろう。
演技を終えて、綱から降りたキム・デギュン氏には大きな汗と安堵の笑顔があった。
1回目の公演を終えたキム・デギュン氏が綱渡りについて御自身の思いをお話くださいました。
 
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 ――9歳から始め、最年少で人間文化財となり、これまでずっと綱渡りを続けて来られましたが、伝統芸能を続けてきた意味は?
簡単なことではありませんでした。単なる好奇心だけではここまで続かなかったと思います。やはりなんといっても、これを誰かが引き続けなければならないという使命感ですね。
そして、こうやって続けてきた今では、この世の中楽しいことばかりではありませんから、苦しみや痛み、悩みを私の演技によって笑いを伝え、少しでもほぐすことが出来たらと思いやっています。
 
――綱の上で演技をしているときの気持ちは?
特に何かあるわけではありません。
いろいろな場に呼ばれ、演技をすることがほとんどですから、そのイベントのテーマに合わせ観客の皆様に楽しんでもらいたいという思いですね。
 
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――いつも同じメンバーで綱渡り公演を行っているんですか?
はい。綱渡り保存会のメンバーとずっと一緒に続けてきています。もう30年以上の付き合いですし、この信頼関係には揺るぎないものがあります。いろいろな場所でその都度違う準備をしなければなりませんが、こうやって安心して演技ができるのもしっかりと準備をしてくれる仲間がいてくれるからこそです。これまでの長い時間の間には喧嘩することもありましたが、そうやって積み重ねてきて今の揺るぎない関係ができているのです。
 
――後進の育成にも力を注いでいますね
ええ。伝承者を育成していくことはとても重要です。今、現在も保存会のある果川で十数名の若者たちに指導しています。皆、本当に頑張っています。
 
ni-IMG_8219.jpg ――綱渡りに対する思いを聞かせてください
観に来てくれる皆様のことを愛して、愛して、十分に愛して、そして、自分の演技で幸せになってくれたらと思います。
今回は日韓交流ということでお招きいただいていますから、日韓友好を願いながら公演をしています。
これからも様々な場所で皆様の気持ちをほぐし、笑いを届けていきたい。そのことに尽きると思う。それがまさに私が綱渡りをやっている意味なのです。
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終わったばかりで衣裳のまま答えてくれたキム・デギュン氏はインタビュー中ずっと使い続けている大きな赤い扇子を見せてくれた。「ずっとこれと一緒ですよ」と笑いながら開いて見せてくれたその扇子は色褪せ、年季の入った古いものだったが、とても神聖なものにみえた。
この韓国綱渡りは2011年にはユネスコの人類無形文化遺産に指定されている。

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